パークロレイト放出試験について

                                一般社団法人日本小児内分泌学会
                                甲状腺委員会

 日本小児内分泌学会 会員各位

 先天性甲状腺機能低下症の病型診断の際、有機化障害の判定のために1970年代よりパークロレイト放出試験が行われています。しかし、わが国ではパークロレイトは診断薬としても治療薬としても承認されておらず、各施設の判断で独自に実施されていました。そのため、当学会では2004年11月26日付で会員向けに「パークロレイト(過塩素酸カリウム)放出試験について」を公表し、検査薬としてはパークロレイト(特級試薬)を選択すること、本試験の実施にあたっては施設内倫理委員会(IRB)の承認を得ること、有害事象が生じた場合には学会事務局(マススクリーニング委員長・薬事委員長)あてにその概要を報告することなどを周知していました。
 上記に基づき各施設において臨床研究という形で、今日までパークロレイト放出試験を実施されてきたと思います。このたび平成30年4月1日に臨床研究法が施行され、未承認適応外の医薬品等を使用する本検査が「特定臨床研究」に該当する可能性が危惧されております。当学会では、こうした状況を種々に検討した結果、パークロレイト放出試験の安全性、有効性は既知の事実であり、また本試験は通常の診療行為であるため、「特定臨床研究」には当てはまらないと判断しております。しかし、検査薬としてパークロレイト(特級試薬)を使用することには変わりありませんので、各施設の規定に則って「未承認の医薬品による診療行為」として届け出を行い、従来通り診療行為として継続していただいてよいと考えております。
 なお、この点に関してご不明な点などございましたら、日本小児内分泌学会事務局jspe@ac-square.co.jp(甲状腺委員会宛て)にご連絡ください。


参考資料
新美仁男, 藤森宗徳 , 中島博徳.小児甲状腺疾患におけるpotassium thiocyanate (KSCN)放出試験.小児科臨床 23巻10号 Page1238-40, (1970.10).
中島 博徳, 新美 仁男.KSCN (potassium thiocyanate)放出試験. 小児甲状腺疾患とその臨床.pp42-3. 中外医学社, 東京 1974年.
Refetoff S. Thyroid function tests and effects of drugs on thyroid function. De Groot LJ, ed. Endocrinology. 2nd Ed. pp590-639, W. B. Saunders. Philadelphia, PA, 1989.
日本小児内分泌学会 マススクリーニング委員会、薬事委員会.パークロレイト(過塩素酸カリウム)放出試験について.http://jspe.umin.jp/medical/files/guide200411.pdf