日本小児内分泌学会理事長就任のご挨拶(会員の皆様へ)

 このたび、日本小児内分泌学会理事長を拝命いたしました。選んでいただいた会員の皆様に、心より感謝申し上げます。50年を超える歴史を持つ日本小児内分泌学会の10人目の理事長(前身の日本小児内分泌研究会の運営委員長から数えると11人目)として、本学会の伝統を守り、さらなる発展をめざして全力を尽くす所存ですので、会員の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

 内分泌系は、神経系と並んで、生体のホメオスタシス維持のための基盤をなす調節システムです。これまで、内分泌学は、各種ホルモンおよびその受容体の発見により発展し、さらに、その制御機構を解明するとともに、種々の治療薬を生み出してきました。特に、小児内分泌学は、主として成長、発達、分化、生殖などに関わる重要なホルモンとその受容機構の研究により、その専門性を高めています。

 日本小児内分泌学会は、このような内分泌学の発展に貢献し、また、質の高い医療を実践するために、種々の活動を行ってきました。主なものとして、学術集会、入門・専門セミナー、学術誌CPEの発行、海外の学会との国際交流、日本内分泌学会と連携した専門医制度などが挙げられます。今後、小児内分泌医療にさらに貢献していくためには、新たな診療ガイドラインの策定、そのためのエビデンスの創出、薬剤開発につながるシーズの提供、新規薬剤の開発、治験・臨床試験の実施、臨床上の疑問点を基礎研究につなげるリバーストランスレーショナルリサーチの推進などが必要です。これらの目的を達成するためには、各種委員会活動に加えて、目的を定めたタイミング良いタスクフォースの立ち上げを行う必要があります。さらに、患者レジストリシステムの構築、診療相談窓口の立ち上げ、ゲノム医療実用化のためのクリニカルシークエンスの導入などを推進していくことも考えております。

 私はまた、学会を会員にとって魅力あるものにするという視点も大事だと考えております。そのためには、専門性を維持しやすい体制の構築や研究の支援が重要です。特に、41%を占める女性会員が積極的に学会に参画できる仕組みを作ることが必要と考えています。これらの課題にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

 新専門医制度が開始され、すでにsubspecialtyのあり方の議論が始まっています。多くのsubspecialtyの選択肢の中で、小児内分泌領域の面白さをアピールしていくためには、日本小児科学会、日本内分泌学会との連携が必要ですし、小児内分泌学会の活動を国内外に発信していく広報も重要と考えております。多くの若い医師・研究者に小児内分泌領域に参画してもらえるよう、会員の力を結集していきましょう。

 学会活動の原点は、学術的なレベルを高め、患者さんのために良質な医療を提供するということです。会員はこの目的を共有する仲間であり、同志であります。学会活動を通じて子どもたちの健康に貢献することが、日本小児内分泌学会会員の共通の思いであると信じております。私は理事長として、10年後の小児内分泌学会を見据えて、今日できることから始めていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。


                                日本小児内分泌学会 理事長 大薗 恵一
                              (大阪大学大学院医学系研究科小児科学 教授)

理事長メッセージ「学術集会における英語での発表の推進について」(2018年11月)[New]

日本小児内分泌学会
会員の皆様へ

                              日本小児内分泌学会
                              理事長 大薗恵一

 平素より、日本小児内分泌学会(JSPE)の活動にご協力いただきありがとうございます。理事長就任時のご挨拶にも述べましたとおり、日本小児内分泌学会の伝統を守るとともに、さらなる発展をめざして、会員の皆様と歩んでいくことが理事長の務めと考えております。そのために必要だと就任時に感じたことを、ホームページの理事長就任のご挨拶に記載しておりますので、御覧ください。今回は、学術集会における英語での発表を推進していくことの必要性について、述べたいと思います。

 JSPEの学術集会は、主として会員の皆様の診療、研究上の成果を発表する場であるとともに、この分野の進歩について学ぶ場でもあります。そのためには、母国語である日本語で不自由なく活発に議論を行うことは重要です。一方で、この分野の進歩は日本に限定されるものではなく、世界レベルでの発展は加速しています。また、子どもたちの健康を守ることは、世界中の小児科医、研究者に共通する願いであり、タスクであります。このような視点から、日本小児内分泌学会学術集会にとって、海外の医師や研究者との交流や情報交換の場となることは、重要な役割のひとつであると考えています。国際交流のためにはコミュニケーションの手段としての英語の活用は不可欠です。

 会員の中には、英語での交流はハードルが高いとお考えの方もいらっしゃると思います。また、その必要性をあまり感じておられない会員もいらっしゃるかもしれません。しかし、近年、海外各国における小児内分泌分野の発展のスピートは高まっており、今、海外との扉を開いておかなければ、日本小児内分泌学会の今後の発展は望めないと思います。ここで言う海外からの参加者というのは、英語を第一言語とする人あるいは海外招聘講演演者のみを想定しているのではありません。タイムリーな交流、情報交換という意味では、一般演題を発表される海外からの参加者の増加をめざすことが大事と考えております。今やアジアは世界の中心となりつつあり、今後さらに発展することは確実です。こうした状況の中で、日本もアジアの一員として協調して発展していくという意思が大切だと思います。英語は確かに一朝一夕に上達するものではありません。しかし、私の経験上はっきりと言えるのは、学会発表を英語で行い、質疑応答を英語で行うことは、どのようなレッスンを受けるより英語のスキルアップに繋がりますし、間違いなく英語学習のモチベーションが上がります。

 私が2015年に日本小児科学会会頭として学術集会を担当した時、京都大学の平家俊男教授(当時)が主催されたAsian Society for Pediatric Researchとの共同開催となりました。この学術集会にはアジア各国から多数の参加があり、日本の参加者とポスターセッション等で英語による熱いdiscussionが行われたことは、感動的で忘れられない経験です。

 JSPEの学術集会においても、英語でのセッションを設け、海外からの参加者との交流の機会を増やすことの必要性をぜひ、ご理解いただき、今年の浦上先生が主催された学術集会に引き続き、来年の依藤先生が担当される来年の学術集会へと、この試みを継続していくことに会員の皆様のお力添えをいただければと願っております。

 JSPEにおける英語活用の推進は、国内における学会活動の活性化のみならず、APPES, ESPE, PESなど他の国際学会への積極的参加を促し、JSPEがこれまで以上に国際的ガイドラインの作成やコンセンサス形成などのグローバルな活動に貢献していくことに繋がっていくと考えております。

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