Travel Award 学会参加レポート

ISPAD 2019(2019/10/30-11/2, Boston, USA)

田川 晃司(滋賀医科大学小児科)

【全体の感想】
国際学会への参加はもとより、海外へ行ったこともなかったので期待と不安が大きかったですが、ご指導いただいた先生方のおかげで大きなトラブルなく発表することができました。学会参加に至るまでの過程がこれまで日本の学会で経験してきたものとは違う上に、英語なので多少困難はありましたが、英語での手紙のやりとりなど良い経験になりました。Bostonの会場では多国籍の方々が活発に討議されており、とても活気あふれた学会でした。日本ではまだ本格的に導入されていない糖尿病治療のツールについても知ることができて、今後日本で使えるようになった時の利点や問題点についても考える機会ができました。そのほかには糖尿病と運動について、糖尿病の遺伝背景などのセッションを拝聴いたしました。ガイドラインに記載されていることより一歩踏み込んだことを検討されていて、とても勉強になりました。今後の患者さんへの指導に役立てられるように頑張ります。学会の合間には現地で留学されている先生方のご厚意でジョスリン糖尿病センターの見学をさせていただく機会があり、海外留学や海外での研究の様子を知ることができて、非常に実り多い学会参加となりました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

【自身の発表について】
演題名:A single-center study of initial clinical presentations affected by type 1 diabetes in Japan: Severe DKA that was caused by delayed diagnosis, but was difficult to detect at the first visit(当院での1型糖尿病患者さんの初発時の臨床像について。重症の糖尿病性ケトアシドーシスでは、初発時は糖尿病を疑う主訴で受診されないことが多く、注意深い問診などが必要。学校検尿は1型糖尿病の早期発見に有用と考えられる)

討論内容:
日本では患者さんは初めにhome doctorを受診することが多いのか、それともいきなり病院にかかることが多いのか→home doctorを受診することが多いと答えました。そのほかに目立った質問はありませんでしたが、C-ペプチドを「CPR」といったところほとんど通じなかったため、略称については注意を要するのだと思いました。また、英語でのプレゼンテーションが初めてだったこともあり、発音などnativeとはかけ離れたものになってしまい、英語能力をもっと身につけなければならないと痛感いたしました。

参加セッションの印象など:糖尿病性ケトアシドーシスについての発表セッションでした。単施設での経過のまとめや、他施設での検討など、勉強になる内容でした。
とても勉強になって実り多い学会でした。今後も積極的に国際学会に参加して最新の知見や英語能力のbrush upができればと思います。最後になりましたが、この度ISPAD 2019 travel awardに選んでいただき、誠にありがとうございました。今回の経験を踏まえて、臨床も学会発表等もさらに精進していきたいと思います。

ESPE 2019(2019/9/19-21, Vienna, Austria)

青山 幸平(名古屋市立大学新生児・小児医学分野)

【全体の感想】
オーストラリアの秋の気候は涼しく、また、学会期間中の天気も非常に良く、大変過ごしやすかったです。学会は多くの人で賑わっており、会場に入った瞬間から活気に満ちているように感じました。
各講演ではなかなか速い英語についていけない部分も多かったですが、聞きやすい英語の講演などもあり、特にMcCune-Albright症候群の管理についてや、様々な甲状腺機能異常に関する話は特に印象深く面白く聞けました。甲状腺機能異常に関する講演では、演者の先生が御話をしながら聴衆全体に質問をふっていましたが、私の想像以上に多くの声が聴衆から返っており、日本人の気質ではこのようにはなかなかならないのでは、と感じました。ディスカッションをする文化が、日本よりもより自然にあるように思い、そのような国内とは違った雰囲気を感じることができたことは良い経験になったと思います。

【自身の発表について】
“A case of Wiedemann–Steiner syndrome with central precocious puberty”をポスターにて報告しました。P3ポスターであったため、個別でのプレゼンテーション、ディスカッションはありませんでした。Wiedemann-Steiner症候群という稀な疾患に、中枢性思春期早発症が合併し極端な低身長となった症例です。Wiedemann-Steiner症候群はそもそも骨年齢の進行が一部で報告されており、これまで焦点が当てられてはいないものの、Wiedemann-Steiner症候群の比較的多い合併症として中枢性思春期早発症がある可能性があると考えられ、それについて報告しました。


山本 賢一(大阪大学大学院医学系研究科小児科学)

【全体の感想】
この度はESPE2019 Travel awardに選出していただき、まことにありがとうございます。初めてESPEに参加させていただきました。ヨーロッパのみならず、アジア、アフリカ、アメリカからも参加されており、人種を超えた参加者の熱意にまず感動しました。私は自身の専門でもある骨系統疾患に関するセッションを中心に聞いてまいりました。

特にsymposium2のWhat’s new in bone and growth researchでのDr Baronの「Longitudinal bone growth: fundamental mechanism to clinical applications」は私自身が遺伝統計学的研究をしているので、GWASやWESの結果なども含めた成長と遺伝についてのまとまった話を聞くことができ、非常に勉強になりました。その他、plenary session、symposium、year bookでは世界のトップランナーの先生から研究と臨床における最新のトピックスを聞くことができました。また、free communicationやposterでは、同年代の世界の医師・研究者の話も聞け、臨床や研究内容は日本も引けを取ってないと感じましたが、英語という点において、各国のプレゼンターは非常に流暢で、日本人は英語の分、損をしているように感じました。

【自身の発表について】
私は「Genotype-phenotype characteristics in four pedigrees of type II collagenopathy in our hospital」という演題で演題を提出し、P1ポスターで採択していただきました。2日目に口頭での発表を経験させていただきました。2型コラーゲン異常症に関する発表は自分だけでしたので想定していたより多くの聴衆が来てくれていました。初めての国際学会での発表で、前もって英語の発表の原稿、発音の練習、想定される質問への回答、また数ヶ月前からのリスニングの準備をして臨みました。緊張もありましたが、うまく発音できず、質問の聞き取り・返答をうまく対応することができませんでした。moderatorに「good .presentation」と言ってもらえたのは嬉しかったですが、他国の人々の英語での発表、質疑を聞いているともっともっと英語の勉強をしないといけないなと感じました。なかなか日本にいると英語、特にスピーキングをする機会がないのですが、最近では日本小児内分泌学会でもEnglish sessionを開催してくださったり、国際学会への支援をしてくださったり、底上げを図ろうとしてくださっています。この機会を逃さず、今後も国際学会等の機会に積極的に参加し、自身の臨床や研究能力だけでなく、英語能力もブラッシュアップしていきたいと思っております。この度は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

PES/PAS 2019(2019/4/27-30, Baltimore, Maryland, USA)

堀 友博(岐阜大学医学部附属病院小児科)

【全体の感想】
この度、日本小児内分泌学会Travel Awardのご支援により、PES/PAS 2019への参加・発表の機会をいただきました。小児内分泌分野の特別講演・教育講演では、日本語の教科書では見たことのないような新しい知見が幾つも発表され、基礎的な内容のみならず実臨床への応用まで、短期間で多くのことが学べて、とても有意義でした。一方、一般演題に相当する口演発表では、私と同世代の演者による発表も多く、英語のハードルを実感するとともに、今後、国際学会での発表に繋がるような臨床や研究の成果を出せるよう、さらなる自己研鑽に努めようと感じました。また、今回のPESはPAS(Pediatric Academic Societies)との共同開催で、小児内分泌のみでなく小児科全体の幅広い分野の発表があり、巨大な学会会場で多種多様な分野の最先端の講演や発表に触れることができ、貴重で刺激的な経験をさせていただきました。

【自身の発表について】
「Thyroid」のセッションで、「Autosomal dominant Hashimoto's thyroiditis associated with haploinsufficiency of A20」と題し、ポスターディスカッション形式で発表を行いました。若年性に常染色体優性遺伝形式でベーチェット病類似症状を呈する自己炎症性疾患であるA20ハプロ不全症の1家系で、3世代に渡り橋本病を発症した家系について、その症例報告とともに自己免疫学的な橋本病の発症機序を考察し発表しました。Common diseaseではありますが発症機序が明確に解明されていない橋本病の発症機序を、TNFAIP3遺伝子の異常による自己炎症性疾患であるA20ハプロ不全症という疾患の解析を通して考察し、学会では何人かの参加者に興味を持って声をかけていただきディスカッションできました。自身の症例に対しても新たな気づきを得るとともに理解を深めることができ、また、英語での発表や討論は非常に貴重で有意義な経験となりました。この経験を今後の臨床・研究に生かしていきたいと考えます。

ENDO 2019(2019/3/23-26, New Orleans, LA, USA)

寺下新太郎(国立成育医療研究センター)

【全体の感想】
初めての国際学会参加であり、演題登録から宿泊先の手配まで何から手を付けてよいかわからない状態で始まりましたが、上司や同僚の手助けのおかげで大きなトラブルなく発表までこぎつけることができました。私がこれまで参加した学術集会のどれよりも規模が大きくはじめは圧倒されることが多かったのですが、主に自身の発表する事柄に関することを中心に、つたない英語でしたが討議を行えたことは非常に良い経験になりました。今回の経験により国際学会参加へのハードルが下がったので、今後も継続的に参加できるように研鑽していきたいと考えています。

【自身の発表について】
演題名:Analysis of clinical features of congenital hypothyroidism with eutopic thyroid gland.
参加セッションは小児内分泌分野のポスターでの発表でした。小児内分泌分野のセッションのポスター数は他のセッションより少なく、発表日が平日であったためか、訪れる聴衆はあまり多くはありませんでした。自身の発表は、先天性甲状腺機能低下症の永続性または一過性の判断に関する報告であり、主に新生児を専門としている先生にも見ていただけました。隣接の発表が永続性先天性甲状腺機能低下症患者の遺伝子多型の解析に関する発表であったこともあり、私の発表に関しても遺伝的背景についての質問を多くいただきました(遺伝子変異を有していた患者はどれくらい含まれていたか、どのような遺伝子異常が多かったか、一過性先天性甲状腺機能低下症患者の中で見つかる遺伝子異常にはどんなものがあったか、甲状腺低形成患者で遺伝子変異は見つかったか など)。聴衆を満足させるだけの討議ができたかは疑問ではありますが、口演での発表と異なり、時間をかけて討議ができたことは良い経験になったと考えています。

ISPAD 2018 (2018/10/11-14, Hyderabad, India)

大杉 康司(横浜市立大学附属市民総合医療センター)

【全体の感想】
学会ではポスター発表や口演、シンポジウムなどを拝聴した。最先端のインスリンポンプの研究や、現在欧米で使用されている670Gのインスリンポンプの実情、インドの小児糖尿病医療の現状、世界のトランジションの課題についての発表が印象に残った。日本と各国の違いを認識するとともに、課題については類似している部分も多く、国際的に取り組むべき問題も多くあることを認識した。
本学会はインドの中でもIT都市と言われているHyderabadで行われた。学会場はインドにおいては高級ホテルで行われ、厳重な警戒下での開催であったが、一歩外に出るとやはりインドであり、いろいろな意味で自分の世界観が広がる学会であった。

【自身の発表について】
私の発表は演題名「Comparison of FreeStyle Libre and FreeStyle Libre Pro on Glycemic Control and Glycemic Variability in Youth with Type 1 Diabetes Mellitus」というアボット社のフリースタイルリブレ®およびフリースタイルリブレプロ®に関する発表を行った。内容としてはインスリン分泌がほぼ廃絶している小児1型糖尿病患児においてリアルタイムにセンサグルコース(SG)値を確認できるフリースタイルリブレ®とブラインドであるフリースタイルリブレ®使用下でSG値変動の差異を検討するというものであった。各国の機器の承認状況によりフリースタイルリブレ®のみ使用できない国などから実際にどのような機器なのかを質問されたり、結果として差異は明らかではなかったが実際の使用した印象はどうであったかを討論した。インドにおいても最先端の医療機関ではこれらの機器を使用することができるようであり、世界全体としての医療技術の進展を目の当たりにすることができた。


今野 裕章(済生会横浜市東部病院)

【全体の感想】
この度、初めて国際学会に参加させていただいた。今までに国内の学会では複数回発表もさせていただいていたため、大まかな流れなどは分かっていたつもりだったが想定していた以上に準備に時間がかかってしまった。今回はポスター発表であったため、最初にいつもと同じように日本語で制作を始めた。

海外にはこれまでに何回も行ったことがあるが、ここ最近はめっきり行く回数も減り実際に海外の方と接する機会もなかった。そのため英語に関しては自分の想像以上に学力が落ちていた。いざ日本語を英訳しようにも文法や単語がなかなか出てこず、インターネットの翻訳サイトや英語の参考書などとにらめっこしながら何とか直していった。
大まかに完成したところで有料の英訳サービスも利用したが、医学的な言い回しではない部分もあったり、自分の意図していることが正確に伝わっていなかったりとその都度修正するのに苦労した。
またインドは以前にも一度行ったことがあるのだが前回同様にVISAの取得にとても骨が折れた。記入すべき箇所がたくさんあり写真の条件も厳しく規定されているため普段の業務をしながらそれらの準備をするのがとても大変でありもう少し早く行うべきだったと反省した。

なんとか準備も終え当日、学会会場につくとやはり日本のそれとは一味違い、横向きのポスターや多種多様な人種の方がいて、周囲では英語が飛び交っておりこれが国際学会かと大変感動した。
肝心の発表については自分で原稿は覚えていたつもりであったが初めての英語での発表ということもあって緊張してしまい、ポスターを見ながら話してしまうことも多く、他の先生方の発表の様にもう少し観衆の目をみて堂々と話すべきであったと反省した。また英語での質疑応答では簡単な英語で座長の先生が質問をしてくださったのだが(両親の身長や今回の症例での発育障害の原因などについて)、内容は分かっていても英語でうまく説明できず回答に窮してしまい、自分の英語能力の低さを痛感した。

インドでは普段から英語を使用している方が多いためか、参加されているインドの先生方は欧米からきている先生方とも不自由なくコミュニケーションされていた。私も日常の診療で外国の方を多く診る機会があり、今後医師として当たり前のスキルとして英語は使えるようにならねばと強く実感した。

発表も終わりいくつかセッションも拝聴した。普段の診療ではみることはないが人工膵臓の有用性が多数報告されていて医療技術の進歩を実感した。今後日本でも導入されるようなら患者にとって大変有用であろうと思う。またインドなど発展途上国での糖尿病の管理の困難さも知り、自分は大変恵まれた中で診療をできているのだと非常に印象に残った。今後も国際学会には積極的に参加し広い視点を持って自己研鑽していきたい。

APPES 2018 (2018/11/7-10, Chiang Mai, Thailand)

松本 孝子(久留米大学医学部小児科)

【全体の感想】
今回の学会では幅広いセッションが設けられていました。特にDSD・副腎についてのセッションが印象的でした。特にDSDについては、欧米ではなくAPPESの考え方によるガイドラインを作る動きについて発表がありました。性についての考え方はアジア圏内でも多様性があると思いますが、知見の共有は必要だと思います。また、DSDに限らず他の疾患でもアジア圏におけるあるいは特有の知見の共有が大切だと思いました。

勉学からは外れますが、海外の学会においては普段とは異なる交流ができることも魅力だと思います。本学会でも国内外の親交を深めることができました。例えば、今回JCHO大阪病院の原田大輔先生、大阪市立総合医療センタ―の川北理恵先生とお知り合いになれました。出会いの場所は市内のバス(テオソイ)の中で、まさに偶然、これぞセレンディピティと思います。道中の原田先生の交渉力や河北先生の情報収集力には恐れ入るばかりでした。私も見習いたいと思い、積極性を心がけ、とある寺院で思い切って僧侶に写真撮影の許可を求めました。その結果、突然聖水をふりかけられ、3人ともしっかり濡れてしまいました。予想外のことでしたが、いい思い出となりました。国外においては、2016年に東京で開催されたfellow schoolで一緒に勉強したChai-udom先生と再会するはずでした。しかし、お互いの都合が合わず会えませんでした。実に残念です。学会期間中も連絡は取っていたので、帰国の際に次回こそは再会しようと約束しました。この学会で得た貴重な縁を大事にしたいと思います。

【自身の発表について】
演題名:A peripheral puberty caused by ovarian dysgerminoma in 46,XY DSD girl
patient with excess DAX1

討議内容:ポスターツアーでの発表でした。DSDを起こすDAX1以外の遺伝子検索を行ったかどうかの質問とDSDはチームで行うことが重要であるとのコメントをいただきました。また、ツアーの時間以外でも腫瘍マーカーがあてになるかどうかといった質問を受けました。

参加セッションの印象:(当然ではありますが)発表者は全員揃っていて、他のセッションより聴衆が多かったと思います。時間帯やタイミングもあると思いますが今回の大会において、シンポジウムやワーキンググループをはじめ、DSD・副腎分野のセッションが比較的多かったことと関係しているかもしれません。

最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださった日本小児内分泌学会の先生方、事務局の皆様に心より感謝いたします。


渡邊 大輔(山梨大学医学部小児科)

【全体の感想】
初めて国際学会に参加し発表を行った。アジアの様々な国の方が参加していた。全体的な感想として、特に遺伝子解析は世界的に標準的となっていること、人口が多い国は検体数が多く、より大規模な解析を行っていることを実感した。一方で、症例報告なども散見され議題の幅広さを感じた。また、日本の他の施設の先生が堂々と発表し、特に同年代の先生が活躍する様子に感銘を受けた。国内のご高名な先生とお会いしお話しすることができ、教科書でお名前を拝見する先生が目の前にいることに刺激を受けた。
学術集会としては、大変広く、綺麗な会場で行われて、学習意欲が引き出される学会だった。ランチョンセミナーではタイのお弁当を食すことで、異文化を味わうことができた。

【自身の発表について】
英語による発表は初めての経験であり、事前に練習したが予想以上に苦戦した。特に質問が聞き取りづらく、自分の考えを言語化することが困難だった。自分の英語力の不足を痛感し、今後継続して勉強する必要性を感じた。
自身の発表の演題名は「GENETIC SCREENING FOR CONGENITAL HYPOTHYROIDISM」である。先天性甲状腺機能低下症において、頻度の多い遺伝子の特定の部位のみを解析し、個々の診療に有効に活かせる可能性についてポスター発表した。今回、遺伝子スクリーニングにより一定の頻度で原因の一部を同定することができ、個々患者の診療への有用性を示した一方で、片アリル性変異で原因のすべてを説明できないという討議になった。今回の発表はまだ途中経過であり、新たな知見を見出せる結果を求めていきたいと思える発表となった。今後の研究に活かせる有意義な討議であり、続報を発表できれるように頑張っていきたい。


吉田 圭(日本大学病院総合診療センター小児科)

11月4日~7日にAsia Pacific Pediatric Endocrine Society(APPES)が主催するタイのチェンマイで開催された20th APPES fellows’ schoolに参加しました。本年の10月に開催されたISPAD science schoolでは開催する立場として参加しましたが、APPES fellows’ schoolではfellowとしての参加となりました。

APPES fellows’ schoolでは17名のfacultyと51名のfellowが参加しました。参加者はオーストラリア、中国、香港、インド、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、スリランカ、台湾、タイ、ベトナムとアジア・オセアニアの地域の各国から参加していました。最多参加国は韓国の11人で、日本からは私を含め3人のfellowが参加しました。fellows’ schoolのプログラムはfellowによるcase presentationとそれに対するdiscussion、facultyによるfaculty presentation、8~9人のsmall groupに分かれてのgroup discussionで構成されていました。group discussionでは負荷試験の結果やContinuous Glucose Monitoring(CGM)の結果、性分化疾患の症例が提示されdiscussionが行われました。私は今回のfellows’ schoolでcase presentationを行いました。初めての英語での発表ということもあり、英語でのスライドの作り方、発表の仕方などわからないことばかりでしたが、他のfellowの発表を聞き大変勉強になりました。

Fellows’ school終了後の11月7日~10日に、同じくタイのチェンマイで10th APPES Scientific Meetingが開催され参加してきました。私は“Evaluation of glucagon test and subsegment C-peptide level in children with abrupt-onset type 1 diabetes”という演題名で、小児の1型糖尿病における随時Cペプチドの推移とインスリン分泌能の評価としてのグルカゴン負荷試験の有用性についての発表を行いました。

今回の経験を通じて、英語の語学力はもとより医学的な知識が足りないことを痛感しました。APPES fellows’ schoolで経験したことを忘れずに、今後の診療に当たっていきたいと思います。

ISPAD 2018 (2018/10/11-14, Hyderabad, India)

大杉 康司(横浜市立大学附属市民総合医療センター)

【全体の感想】
学会ではポスター発表や口演、シンポジウムなどを拝聴した。最先端のインスリンポンプの研究や、現在欧米で使用されている670Gのインスリンポンプの実情、インドの小児糖尿病医療の現状、世界のトランジションの課題についての発表が印象に残った。日本と各国の違いを認識するとともに、課題については類似している部分も多く、国際的に取り組むべき問題も多くあることを認識した。
本学会はインドの中でもIT都市と言われているHyderabadで行われた。学会場はインドにおいては高級ホテルで行われ、厳重な警戒下での開催であったが、一歩外に出るとやはりインドであり、いろいろな意味で自分の世界観が広がる学会であった。

【自身の発表について】
私の発表は演題名「Comparison of FreeStyle Libre and FreeStyle Libre Pro on Glycemic Control and Glycemic Variability in Youth with Type 1 Diabetes Mellitus」というアボット社のフリースタイルリブレ®およびフリースタイルリブレプロ®に関する発表を行った。内容としてはインスリン分泌がほぼ廃絶している小児1型糖尿病患児においてリアルタイムにセンサグルコース(SG)値を確認できるフリースタイルリブレ®とブラインドであるフリースタイルリブレ®使用下でSG値変動の差異を検討するというものであった。各国の機器の承認状況によりフリースタイルリブレ®のみ使用できない国などから実際にどのような機器なのかを質問されたり、結果として差異は明らかではなかったが実際の使用した印象はどうであったかを討論した。インドにおいても最先端の医療機関ではこれらの機器を使用することができるようであり、世界全体としての医療技術の進展を目の当たりにすることができた。


今野 裕章(済生会横浜市東部病院)

【全体の感想】
この度、初めて国際学会に参加させていただいた。今までに国内の学会では複数回発表もさせていただいていたため、大まかな流れなどは分かっていたつもりだったが想定していた以上に準備に時間がかかってしまった。今回はポスター発表であったため、最初にいつもと同じように日本語で制作を始めた。

海外にはこれまでに何回も行ったことがあるが、ここ最近はめっきり行く回数も減り実際に海外の方と接する機会もなかった。そのため英語に関しては自分の想像以上に学力が落ちていた。いざ日本語を英訳しようにも文法や単語がなかなか出てこず、インターネットの翻訳サイトや英語の参考書などとにらめっこしながら何とか直していった。
大まかに完成したところで有料の英訳サービスも利用したが、医学的な言い回しではない部分もあったり、自分の意図していることが正確に伝わっていなかったりとその都度修正するのに苦労した。
またインドは以前にも一度行ったことがあるのだが前回同様にVISAの取得にとても骨が折れた。記入すべき箇所がたくさんあり写真の条件も厳しく規定されているため普段の業務をしながらそれらの準備をするのがとても大変でありもう少し早く行うべきだったと反省した。

なんとか準備も終え当日、学会会場につくとやはり日本のそれとは一味違い、横向きのポスターや多種多様な人種の方がいて、周囲では英語が飛び交っておりこれが国際学会かと大変感動した。
肝心の発表については自分で原稿は覚えていたつもりであったが初めての英語での発表ということもあって緊張してしまい、ポスターを見ながら話してしまうことも多く、他の先生方の発表の様にもう少し観衆の目をみて堂々と話すべきであったと反省した。また英語での質疑応答では簡単な英語で座長の先生が質問をしてくださったのだが(両親の身長や今回の症例での発育障害の原因などについて)、内容は分かっていても英語でうまく説明できず回答に窮してしまい、自分の英語能力の低さを痛感した。

インドでは普段から英語を使用している方が多いためか、参加されているインドの先生方は欧米からきている先生方とも不自由なくコミュニケーションされていた。私も日常の診療で外国の方を多く診る機会があり、今後医師として当たり前のスキルとして英語は使えるようにならねばと強く実感した。

発表も終わりいくつかセッションも拝聴した。普段の診療ではみることはないが人工膵臓の有用性が多数報告されていて医療技術の進歩を実感した。今後日本でも導入されるようなら患者にとって大変有用であろうと思う。またインドなど発展途上国での糖尿病の管理の困難さも知り、自分は大変恵まれた中で診療をできているのだと非常に印象に残った。今後も国際学会には積極的に参加し広い視点を持って自己研鑽していきたい。

ESPE 2018 (2018/9/27-29, Athens, Greece)

泉田 侑恵(新潟市民病院小児科)

【全体の感想】
今回始めての国際学会への参加でしたが、ご指導いただいた先生方のおかげで、大きなトラブルなく演題を出すことができました。ギリシャでの会場では、日本で行われる学会とは雰囲気異なっており、多国籍・多宗教を意識する機
会もありました。また、演者と会場の参加者が活発にやりとりをしながら進めるMeet The Expertも初めて体験する形であり、非常に良い刺激を受けることができました。今までの日常診療でも、希少疾患など、様々な場面で海外からの文献を検討する必要性を感じることも多くありました。今回、日本国内だけでなく、国際的に医学情報を収集、発信していくことの大切さを改めで感じました。今回のESPEへの参加で、自分の英語力の不十分さを再確認することにはなりましたが、国際学会に対する抵抗感を減らすことができ、非常によい経験をさせていただいたと思います。

【自身の発表について】
演題名:Transient Central Hypothyroidism due to Maternal Graves’ disease
討議内容:
・日本と海外での新生児マススクリーニングの違い
日本では一部地域を除いて、先天性甲状腺機能低下症のマススクリーニングとして、TSHのみの測定が行われてい るが、多くの国ではTSHとFT4の療法の測定が行われていることが多い。今回の症例では中枢性の甲状腺機能低 下でありTSHの上昇がみられないため、FT4の測定も行われることでより早期の診断が可能となったと考えられる。
・大腿骨遠位端骨核について
本例ではNICU入院時、マススクリーニングで甲状腺機能低下症を指摘されず、生後34生日で診断された。そのた め、出生時時点での大腿骨遠位骨核については評価できなかったが、生後1か月の時点では長径が約6mm認めた。


井上 毅信(国立成育医療研究センタ-研究所分子内分泌研究部)

【全体の感想】
私自身が初めての海外での学会参加でしたので、参加登録、抄録の提出、e-posterのアップロード、当日会場で発表するまでの手順などの一連の流れを体験できたのは、非常に良い経験でした。聴講は私の研究テーマである、シルバーラッセル症候群、インプリンティング異常症、成長障害などのセッションを中心に行いました。英語が母国語ではない演者もいましたが、どの演者も上手に堂々と発表・質疑応答をしていました。すでに論文化されており私が読んだことがある内容もあれば、まだ論文化されておらず初めて耳にする内容もありましたが、演者と同じ空間で直接発表を聴くことで、論文を読む以上に理解が深まった部分がありました。ただ、私の英語力が不十分であったため、その場では完全には理解できないことがあり、英語力の強化が今後の課題かと感じました。

【自身の発表について】
成長障害のセッションでRapid Free Communicationの形で発表をさせていただきました。演題名はMolecular and clinical analyses of two UPD(16)mat patients detected by screening 94 patients with Silver-Russell syndrome patients without known etiologyでした。発表時間が3~4分とかなり短かったため、内容の取捨選択には苦労しましたが、発表自体は無事終えることができました。残念ながら当日の演題の進行が遅れていたため質疑応答はありませんでした。私が参加している学会でEnglish sessionを設けているものがありますので、今後も積極的にEnglish sessionへの演題の応募、質疑応答への参加を心がけていきたいと思っております。
この経験を今後の研究に生かしていこうと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。


川嶋 明香(東北大学大学院医学系研究科 小児病態学分野)

【全体の感想】
興味深い演題が数多くあり、充実した3日間でした。例えば、特発性低身長症に対するGH治療の是非についての討論のセッションがありました。集団の中で5%は必ず5パーセンタイルを下回るなかで、果たして特発性低身長症にGH治療の適応・必要があるかというものです。特発性低身長症に対するGH治療に反対の立場からなされたプレゼンテーションでは、GH治療によって親の幸福度は上がるが、本人の幸福度は上がらないというような話もあり、驚きました。特発性低身長症に対してGH治療が保険適応では無い日本では治療の是非をひとつのセッションに取り上げることはなかなか無いのではないか、と感じ一層興味深かったです。また、1型糖尿病に対する膵島細胞移植のデバイスの進歩についてなど他にも勉強になるセッションばかりでした。

【自身の発表について】
演題名:Maternal uniparental disomy for chromosome 20: physical and endocrinological characteristics of six patients
自身の発表については残念なご報告をせざるを得ません。
私はポスターツアーで上記演題について発表させていただく予定でおりましたが、トラブルがあり発表自体が出来ませんでした。ポスターツアーの途中で座長の先生が急病になってしまい、そのセッション自体が中止となってしまったためです。自身の英語が通じるか不安に思いつつも、発表に対してESPE参加者の皆様からどのような質問が頂けるかを楽しみにもしておりましたので、発表および質疑応答が出来なかったことは残念でした。来年以降にまた別の演題でESPEに参加できればと考えております。座長の先生のご快復を心よりお祈り申し上げます。


鈴木 大(東北大学病院 小児科)

Travel Awardグラントのご支援をいただきまして、去る2018年9月27日から29日にギリシャ・アテネで開催された第57回欧州小児内分泌学会 (ESPE 2018) に参加し発表する機会を得ましたのでご報告させていただきます。

私は、“A sibling case of Wolfram syndrome with diabetes mellitus diagnosed within 10 months in early childhood(小児早期の10か月間に相次いで糖尿病を発症し診断されたWolfram症候群の兄弟例)”という演題名で電子ポスターでの発表でした。本症候群 (WFS) は、若年発症インスリン依存性糖尿病と視神経萎縮を主徴とする進行性神経変性疾患で、尿崩症や感音性難聴、腎尿路異常および多彩な精神神経症を合併することが明らかにされています。小学校1年生の兄が就学時健診、学校検尿を契機に視神経萎縮、糖尿病を発症し、そのわずか10か月後に2学年下の弟が同様の徴候を発症したことから本症候群が疑われ、臨床診断しました。通常の1型糖尿病患者と管理が大きく異なるため、小児・思春期糖尿病患児の中で、他のWFS徴候を合併する場合は本症候群を鑑別に入れる必要があること、WFSは多彩な臨床像が進行性に経過する予後不良疾患であることから, 今後関連各診療科と連携した継続的・包括的なフォローが必要であることを結語としています。

学会場のポスター展示の場があまり広くなかったこともあり、自分はP3 (電子ポスター上での発表) で検索してみてもらう形だったため、口頭で発表、討議するという場面はなかったのですが、それでも兄弟例という稀な症例を国際学会で提示でき、有意義であったと思います。1型糖尿病の最新の治療や性分化疾患、成長障害、肥満、CCS晩期合併症などのレクチャー・セッションを聴講し、最新の知見を得、国際的なスタンダードを確認し、専門的・実践的な内容を学びました。またポスター発表では新しい知見を得るとともに、自分が普段抱えている疑問・悩みをテーマにした発表もみられディスカッションすることができました。小児内分泌の国際学会参加は初めてでしたが、各国の先生方のほとばしる熱量を感じ、自分もその輪に加わりたい、加わらなければならないという思いを強くしました。
学会の合間には、アテネの町を観光し、パルテノン神殿で有名なアクロポリス遺跡や古代アテネの中心地として栄えた古代アゴラなどを観て廻りました。遺跡・建造物はどれも荘厳で非常に神聖な気持ちになりました。またギリシャ彫刻・美術の中心である国立考古学博物館を見学したり、他の日本人学会参加者の先生方と夕食をともにし、ギリシャの名物料理を味わったり思い出深い時間を過ごすことができました。

今回の学会で得た経験、刺激を糧に、今後も臨床・研究に携わっていければと思います。最後に学会のご支援を賜りましたことを改めて深謝申し上げます。


中谷 久恵(武蔵野赤十字病院 小児科)


【全体の感想】
ヨーロッパだけでなく、アジア、中東、アフリカなどからの参加者も多く活発な学会でした。Symposiumは参加型のSessionであり、参加者から活発な意見や質問が飛び交っていました。臆することなく自分の意見を述べることができる重要性を痛感しました。学会では臨床研究やcohort研究なども国を越えて盛んに行われており、盛んにました。今後、日本でも多施設共同研究が多く行われるようになればある程度まとまった報告などもできるのではないか、と感じました。また、ヨーロッパの施設からの発表であっても発表者はアジアや中東からの留学生と思われる方々が多かったものの、残念ながら日本人の方の発表は少なかったように感じました。また、女性医師の活躍も目立ち、発表者や講演者の過半数以上は女性であったように見受けました。日本小児内分泌学会でも多くの女性医師が確約されていますが、自分自身着実に仕事をしていかなければ、と身が引き締まる思いでした。

【自身の発表について】
演題:A case of central diabetes insipidus developed 4 years after the non-CNS-risk unifocal bone lesion of Langerhans cell histiocytosis
私自身は自院で経験した大腿骨LCHの既往があり、4年後に中枢性尿崩症を発症した男児例をポスターで発表しました。ポスター発表の中でもプレゼンテーションのない掲示のみの発表でした。発表の機会がなかったことはとても残念でしたが、今後も世界へ向けて情報発信していけるよう努力していきたいと思います。


山内 健(東京医科歯科大学医学部附属病院 小児科)


【全体の感想】
 この度はESPE 2018 Travel awardに選んでいただき、まことにありがとうございました。はじめてESPEに参加いたしました。ヨーロッパのみならず世界中から小児内分泌科医が集い、活発な議論がおこなわれた3日間は非常に刺激的なものでした。自分にとっての大きな収穫として、①最新の知見や研究に触れることが出来たこと、②海外の先生とディスカッションができ、自分と同じような疑問をもち診療に臨んで先生がいることを知ることができたこと(大げさですが、世界には仲間がいると感じたこと)、③英語での発表準備やプレゼンテーションを通じ、日本語とは異なる英語の論理展開のトレーニングが出来たこと、の3点がありました。

【自身の発表について】
今回、「Prematurity of 23 weeks or less week’s gestation is a risk for transient late-onset hyperglycemia in neonates」というタイトルで発表を行いました。E-posterでの発表でした。
在胎23週以下で出生した超早産児では急性期を離脱後に高率に一過性の遷延性高血糖がみられることをまとめた単一施設での研究です。高血糖の原因として早産に起因する糖代謝能の成熟遅延が考えられることを報告しました。通常の新生児一過性糖尿病とは機序として別のものと思われます。
セッションでは十分な時間が設けられており、様々な質問やコメントをいただくことができました。質問内容としては1.治療に関係したもの(インスリンの投与開始基準や、投与量・治療期間など)、2.病態に関連したもの(KCNJ11などの変異が見られた症例はあるか等)、3.日本の早産児の治療、管理について(在胎何週から治療対象としているか)といったことがフロアから聞かれました。
日本の早産児の治療、管理は世界的に見て良好な成績をおさめているといわれています。それゆえに未解明な点の多い早産児の内分泌や代謝機能に関しては日本から世界に発信できることは多いと考えています。今後も新生児内分泌に関する研究や症例を、微力ながらでも世界に発信していきたいという気持ちを強くすることができました。

【これから国際学会に挑戦したいと思っている若手の先生へ】
英語を鍛えるには、英語での発表がどのようなレッスンよりスキルアップにつながると理事長の大園先生が述べられていましたが、実際その通りだと思います。国際学会で発表をするとまた英語で発表をしたい、もっと英語のスキルをbrush upさせたいという気持ちが高まります。そして世界が広がります。ぜひ、積極的に国際学会に挑戦してください。

ページのトップへ