肥満

子どもの肥満

1.どれくらい太っていると肥満というの?子どもの肥満はどう評価するの?

子どもの肥満は主に肥満度というものを使って評価します。肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算されます。

肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)

幼児では肥満度15%以上は太りぎみ、20%以上はやや太りすぎ、30%以上は太りすぎとされ、学童では肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満といいます。この肥満度法は乳児の肥満度判定には用いません。乳児に関しては次項で述べる症候性肥満(2次性肥満)以外は様子を見てよいとされています。

標準体重は性別、年齢別、身長別に設定されています。ここでは全ての標準体重を記載することはできないので肥満度を簡単に知ることのできる肥満度判定曲線を添付します(X軸に身長、Y軸に体重をとったグラフです)。そのグラフにお子さんの身長・体重から点をつけてみてください。現在の肥満度を知ることができます。

幼児用 肥満度判定曲線 男子幼児用 肥満度判定曲線 女子

学童用 肥満度判定曲線 男子学童用 肥満度判定曲線 女子

また肥満がいつから起こってきているのか、今も肥満傾向が続いているのかも問題になります。その際には成長曲線(身長・体重曲線)(X軸に年齢、Y軸に身長もしくは体重をとったグラフ)を作成してみることで情報を得ることができます。男女別の成長曲線を添付します。幼児については母子健康手帳にも身体発育曲線(成長曲線)、身長体重曲線(肥満度判定曲線)が載っています。

男子身長体重標準曲線(0~18歳)女子身長体重標準曲線(0~18歳)

2.なぜ子どもは肥満になるの?

子どもの肥満のほとんどは単純性肥満(原発性肥満)といって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生ずるものです。つまり食事・おやつ・ジュースなどの過剰摂取、食事内容のバランスの悪さ、さらに運動不足などによって起こるものがほとんどです。1970年代以降、食生活やライフスタイルの変化により子どもの肥満が急激に増えました。現在は、増加傾向は止まってきていますが、すでに1割を超える子どもが肥満となっています(図1)。肥満の中には病気がかくれていて肥満を呈してくる(単純性に対して症候性肥満(2次性肥満)と呼びます)こともあります。その際は身長の伸びが悪くなるのが特徴です(単純性肥満(原発性肥満)の場合は身長もよく伸びています)。

図1.肥満児が増加する背景

3.なぜ肥満はいけないの?

肥満は各種の合併症を伴いますが、特に生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となり、これらは動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めます(図2)。そしてこれら生活習慣病は成人のみならず子どもにおいても見られ、子どもの頃から動脈硬化は進行します。また脂肪肝や睡眠時無呼吸をおこすこともあります。肥満がある場合はこのような合併症を伴っていないかの検査が必要となります。また以上のような合併症を伴っていなくとも膝・腰などに悪い影響を与えますし、肥満の状態を長く続けていることはよいことではありません。子どもの肥満は大人の肥満のもとです。特に年長児の肥満ほど大人の肥満に移行しやすいことがわかっています。思春期の時期になってしまうと、身長が伸びて体格が形成されてしまう事や肥満を引き起こす生活習慣が定着してしまう事から肥満が定着しもとに戻すことが大変難しくなります。小児期でも肥満治療は重要であり、できるだけ早いうちに始めることは重要であります(図3)。

このような肥満に伴う健康障害出現の高リスク群として小児のメタボリックシンドロームの診断基準が定められています(表)。

図2.肥満は生活習慣病の最大の原因

図3.子どもの肥満は大人の肥満のもと

4.医療機関を受診するのはどんな時?

母子手帳もしくは添付されている肥満度判定曲線や成長曲線を使ってみましょう。身長に比べ、明らかに体重が多い、もしくは体重増加傾向が続いているときには一度医療機関を受診しましょう。子どもの肥満はできるだけ早い時期に介入したほうが改善させやすいということがわかっています。

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