性分化疾患

性分化疾患とは?

性分化とは、性染色体(X染色体とY染色体のことを指します)に基づき精巣や卵巣が発育し、男女それぞれに特徴的な内性器(体の中の性器)や外性器(体の外側の性器)が造られる過程を指します(図1)。この過程は多くの遺伝子(体内で働くタンパク質の設計図)によって司られていて、未熟な性腺が作られるステップ、未熟な性腺が卵巣や精巣になるステップ、精巣から男性ホルモン(内・外性器を男の子に典型的な形にするホルモン)やミューラー管抑制ホルモン(子宮を退化させるホルモン)が分泌されて男の子に典型的な内・外性器が作られるステップ、卵巣からこれらのホルモンが分泌されずに女の子に典型的な内・外性器が作られるステップに分けられます。性分化疾患とは、この性分化のステップの何らかにトラブルが生じ、性染色体、性腺、内性器、外性器が非典型的である生まれつきの状態に使われる用語で、多くの疾患(体質)を含む総称です。

図1) 外性器が造られる過程

症状

生まれたときに、外性器が他の大部分の男の子や女の子とは異なっている場合に、性分化疾患は疑われます。実際には、男性に近い型から女性に近い型まで様々なタイプの外性器が見られます(図2)。法律上の性(または戸籍上の性、社会的な性ともいいます)を決定するためにさらなる検査が必要な場合には、小児内分泌専門医に対応していただくのが望ましいです。

生まれたときには気づかれず、思春期後半の年齢になっても他の大部分の男の子や女の子のような二次性徴が見られない、あるいは進行が遅いことで見つかる疾患もあります。男の子で14歳になっても精巣が大きくならない場合や16歳になっても声変わりしない場合、女の子で13歳になっても乳房が発育しない場合や15歳になっても生理が来ない場合には、小児内分泌専門医への受診をお勧めします。

図2) 性分化疾患でみられる様々な外性器

診断

性分化疾患の原因となる疾患を見つけるために必要な検査は、一般的な血液・尿検査に加えて、内分泌検査(ホルモン負荷試験など)、画像検査(MRIやエコ−や造影など)、外科的検査(腹腔内を観察する内視鏡など)、染色体検査、遺伝子検査などがあり、必要な項目を選択して行います。性腺については、エコー検査やMRI検査で精巣や卵巣の特徴を持っているかどうか判定できますし、ホルモン負荷試験で男性ホルモンや女性ホルモンを作る力を調べる方法もあります。内性器については、男の子では評価するのが難しいですが、女の子ではエコー検査やMRI検査、内視鏡検査や造影検査で形やサイズを評価できます。法律上の性を決める際には、様々な検査を早急にかつ効率よく行う必要があります。

治療

1)法律上の性の決定

日本では、戸籍法により出生後14日以内に氏名と性別を登録する義務を親権者は負っています。ただし、性分化疾患などですぐに性別を決められない場合には、医師の診断書を添えれば生後14日以降でも受理されます。なお法律上の性を考える上で、染色体の核型、性腺の性状、内・外性器の形状などはいずれも単独で性を決める根拠にはなりません。さらには、原因となる疾患によって法律上の性が決まるということもありません。疾患が同じであっても、その重症度によって異なった性を選択される場合はあります。法律上の性は社会生活上の基盤となり、生涯その個人について回るものですので、その決定は慎重に行わなければなりません。

2)外性器や内性器の手術

性分化疾患の患者さんの一部は、決定した性に沿って、外性器や内性器の形を整える手術が必要になります。手術時期については、1-2歳までに行う考え方と思春期以降に本人と相談しながら進める考え方と二通りがあります。手術の難易度が高いため、経験のある外科系医師(泌尿器科医、小児外科医、産婦人科医など)に相談するのをお勧めします。

3)性ホルモンの補充

思春期年齢になっても精巣や卵巣から性ホルモンが出ず、二次性徴が始まらない場合には、男性ホルモンや女性ホルモンなどの補充が必要になります。

予後

最も重要な点は本人が成人になって自らの性別を男性と考えるか、女性と考えるかということです(性同一性ないし性自認といいます)。これが法律上の性と一致せず、社会生活に支障を来した場合を性別違和(ないし性別不調和)と呼びます。小児期に将来の性同一性(性自認)を確実に予測する方法はありませんが、一部の疾患では性別違和のリスクが高いか低いかは判明してきています。法律上の性を決定する前に原因となる疾患が特定できていると参考になります。

将来、性交渉がどの程度可能になるかどうか、子どもを授かるかどうかについても重要な問題ですが、小児期に確実に予測することは難しい場合が多いです。

 

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