骨形成不全症
骨形成不全症とはどのような病気ですか
骨形成不全症は、全身の骨の脆弱(ぜいじゃく)性があり、軽い外傷などで簡単に骨折をしてしまう疾患です。多くの場合、骨を形成しているタンパク質の一部であるコラーゲンに遺伝的な変化があるために起こります。このコラーゲンの異常の程度により、重症度が決まってくると考えられています。
骨は、外側の硬いところと内側の空間になっているところで構成されています。内側の空間には骨髄(血液をつくる場所)があります。外側の硬い部分は図1にあるように、鉄筋コンクリートのような構造になっています。鉄筋に相当するのが“コラーゲン線維”で、コンクリートにあたるのが“ミネラル”です。骨形成不全症の大部分は骨の外側の硬い部分のコラーゲン線維が正常に作られない病気といえます。
図1
骨形成不全症の重症度は、非常に大きな個人差があります。骨密度を調べると低下しているけれども一生のうちに一度も骨折を起こさない軽いタイプから、胎内にいるときからすでに骨折を起こしたり、出生直後から全身の骨の骨折を認めるような重症なタイプまであります。
骨形成不全症にはどのような症状がありますか
もっともわかりやすい症状は、繰り返す骨折です。骨折は、乳児期や歩行の不安定な1、2歳ごろと運動をする機会が増える小学生で多いとされています。骨折や骨変形は、長管骨(四肢の骨にみられる長く伸びた管状の骨)に多く見られます。骨折を繰り返すことで、骨が変形することもあります。軽いタイプの骨形成不全症は、骨折をおこさないまま一生を終えることもあります。また、妊娠・出産や加齢によって骨の脆弱(ぜいじゃく)性が増すことがしられています。コラーゲンは骨以外の部分にも多く存在するため、青色強膜(「しろ目」の部分が青みがかっている)、歯の形成不全、難聴といった多彩な症状が出現します。これらの症状と特徴的なレントゲン写真から骨形成不全症と診断されます。また、さらに正確な診断のため遺伝子検査を追加することもあります。
骨形成不全症の頻度はどのくらいですか
軽症の骨形成不全症の患者さんは、病気であることに気がつかない場合がありますので、正確な頻度の把握は難しいのですが、約2万人に1人とされています。
骨形成不全症の治療法はどのようなものがありますか
骨折の危険性の高い患者さんには、骨を強くするためにビスホスフホネート製剤(パミドロン酸ナトリウム)の周期的投与(2〜4ヶ月の間隔、年齢によって決められている)が行われています。この治療は骨折の頻度を減らし、さらに骨密度を増やしたり骨の痛みを軽減します。四肢の変形に対して骨切り術、長管骨の変形を予防するために骨の真ん中への釘挿入なども行われます。近年、コラーゲン以外の遺伝子の変化によってこの病気になる人も見つかってきました。どの遺伝子の変化が原因であるかによって、治療薬への反応や注意する合併症が違ってくることもわかってきました。新しい治療薬の研究も進んでいます。今後は遺伝子検査によって得られる情報が、より患者さんの役に立つ時代になっていくと考えられます。